私は、教員時代から今日にいたるまで、約1万人もの子供たちの“心のケア”に深く関わってきました。
しかし、肝心の自分自身へのケアがおろそかになっていたのでしょう、3年ほど前、30年来患ってきた胃潰瘍が悪化。精神的にもショックを受け、ひどいうつ病にかかってしまいました。
何とかしなければ……」。通常ならば、手術を受けて腫瘍を取り除くことを、まず考えるかもしれません。しかし、それで本当に治るという保証はありません。
このとき私が思ったのは、「子供たちに行なってきたケアを、自分にも実践してみよう!」ということ。といっても、それは次のようなシンプルなものです。
1、つらい、痛い、苦しいという思いを、吐く息と一緒に出してしまう。
2、そうしたネガティブな気持ちを許し、肯定し、「それでいいんだよ」という思いを息とともに吸い込む。
私は、自らが考案したこの心のケアを、「魔法の呼吸」と呼んでいます。
驚かれるかもしれませんが、こんなシンプルな呼吸法が症状の治癒に大きな効力を発揮したのです。
正確に言うと、私が実践したのは「魔法の呼吸」だけではありません。
ただベッドに寝ているだけではこの呼吸法の効果が十分に発揮されないと思い、体の代謝をうながすために、深夜のお弁当屋さんでのアルバイトを始めることにしたのです。
ベルトコンベアで流れてくる弁当箱のなかに、両手を使って、決められた具材を次々と入れていく。……一見簡単そうですが、慣れるまでは思うように体が動かず、上司に怒鳴られることもしばしば。そのトッピング作業を、一晩で5000回以上続けたでしょうか?
しかし3か月も続けると、無理なく自然に作業ができるまでになり、同時に、ものすごい痛みが襲ってくるようになりました。
免疫学の第一人者である安保徹先生(新潟大学大学院教授)によると、病気の際に痛みや腫れ、熱などが発生するのは、免疫力を高めるための体の正常な働きなのだといいます。
つまり、痛みを薬などで抑えるのではなく、出すことによって病気は癒されていく。私の場合、お弁当屋さんでのリズミカルな作業が痛みを誘発し免疫力を高めてくれたのでしょう。
ちろん、それは泣きたくなるくらいの激しい痛み。「本当に大丈夫だろうか?」という、不安だって湧いてきます。
しかし、「魔法の呼吸」を繰り返すことで、徐々に痛みや不安は和らいでいき、3か月後には何と胃の腫瘍の自然退縮が始まったのです。 まわりの仲間にも驚かれますが、ガリガリにやせ衰えていた私が、いまでは「本当にガンだったの?」というくらい元気な毎日を過ごせるようになりました。
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