11.ガジュツ
ダイエットに関して、相変わらずあくなきチャレンジャーの及川である。
この衝動買い日記の第1回目に書いた「コンフォート・エステ・スリッパ」は、すでにもうない。ウエスト1センチ体重1グラムも減らすことなく、スリッパはただボロボロになり、燃えないゴミの日に出されることとなった。
それからも、「穿くだけでセルライトがなくなる下着」だの「飲むだけで脂肪を燃焼させるサプリメント」だのを買って試してみたが、何の変化もなく今に至っている。
いや。正しく言えば変化はあった。
なんと! 体脂肪がとうとう30パーセントを超えてしまった。立派な肥満体。中年太りまっしぐらである。
好きなものを好きなだけ食べ、仕事もせずにちんたら日々を過ごし、さらに運動もしない、食べたらすぐ横になる、下手するとそのまま眠ってしまう。だらしないという言葉を絵に描いたような生活である。そんな日常をおくっていれば、太らない方がおかしいというものである。
それでも若い頃は基礎代謝が良かったのか、特別気を付けていなくても太ることはなかった。18歳から42歳くらいまで、私の体重はほとんど変わらずにきたのである。
同世代の女性たちがカロリーに気を付けながら食事をし、ジムや水泳に通って汗を流し、1キロ増えた減ったに一喜一憂しているのを横目に、そういう「我慢の世界」とはまったく無縁に過ごしてきた。人の2倍くらいメシを喰らい、人の10倍は動かない生活。それでも大丈夫だったのである。
なもんで、つい安心しきっちゃたんだよなぁ。甘えというか緩みというか、自分は間違っても太ることはないと、根拠もなく信じ込んでいたのさ。
でも考えてみれば、うちの母親はデブである(父親は痩せていたが)。親の因子を継がないわけがない。
新陳代謝も悪くなった今日この頃、食べたら食べただけ脂肪と化していく現実。さらに、重力には逆らえず、脂肪は下へ下へと落ちていく。首筋や胸だけ見ると華奢なのに。かつて胸についていた脂肪は、腹や尻や太股あたりで新たな存在感を示している。
おまけにもっと悪いことに、長年の運動不足が祟り、体力も落ちていく一方である。駅の階段を上っただけでゼーゼー。電車に間に合うようにとちょっと走っただけで汗びっしょり。少しでも長く歩くとすぐに股関節や膝が痛くなり、1駅だってつい座ってしまう、この根性のなさ。私は年寄りか!
それでも、じゃあ体力づくりとダイエットを兼ねて運動しましょう、と思わないのが自分でも感心するところである。あくまで楽をして一生をおくりたいのである。
で、2ヶ月ほど前になるが、テレビを観ていたら「究極のダイエット食材」ということで、ガジュツが取り上げられていた。今までどんなことをしても痩せなかった人が、このガジュツを飲んだだけで10日間でウエスト7センチ減ったというのである。
これじゃあ〜っ!
及川、早速インターネットで検索して購入。
ガジュツとは主に沖縄や中国で採れる紫ウコンのことで、それを保存が利くように粉末にしたものである。毎食後水に溶かし飲む。それだけで体に蓄積された脂肪分を排出し、また健康維持にもなるというのである。
しかし、これがひどくにがい。にがいだけなら平気なのだが、とてつもなくマズい。慣れるまでずいぶん時間がかかった。
そんな苦労と我慢を重ね、2ヶ月経った今…。
ウエスト1センチ体重1グラムも減ることなく、相変わらず絶好調である。
最近ではうつむくたびに腹がじゃまになり、3年前まで平気で穿けていたスカートは、「ふんっ!」と言いながら息を止めてじゃないとウエストのホックが留まってくれない。尻も太股もパツパツ。誰がどう見たって立派なおばはん体型である。
それでも、まだガジュツを飲み続けている私。あきらめていないからではない。4袋まとめて買っちゃったからだ。
だけど、最近いいことを思いついた。さすが及川、年の功である。
トルコは肥満率30パーセントを超している。油ものばかりの食生活なので、年をとればとるほど太った人が多くなる。
また、一般的に日本人は年をとるのが遅いというか、とにかく若く見える。1回り以上年下に見られるのが当たり前。私も実年齢を言うとものすごくびっくりされる。
「どうしたらそんなに細くて、ずっと若くいられるの?」
みんなから訊かれる質問である。つまりトルコに行くと、私はずっと細いまま、若いままの娘っ子なのである。
最悪これ以上太っちゃっても、トルコ人と一緒にいればあまり目立たない。それに日本ではビッグ・サイズの店に行かなきゃ置いていないような15号17号(それ以上のサイズでも)の洋服だって、どこででも普通に買える。
もしもっと太ってしまったら、トルコで暮らせばいいのである。いやぁ、素晴らしいアイデアである。
安心材料ができたってことで。今日の夕食は焼き肉だな。 |