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暮らしに役立つおばあちゃんの知恵袋

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著名人が語るおばあちゃんの知恵袋

第14回 矢追純一さん

 

■空を見てほしい! 
 だから、UFO番組を作った


  矢追純一さんは、 1935年7月17日生まれ。日本テレビのディレクターとして活躍した。「11PM」「木曜スペシャル」などを担当。UFO番組や、超能力番組を制作した。スプーン曲げで大きな話題を集めた、ユリゲラー氏の番組を制作したのも矢追さんだ。
 日本テレビを退職後、矢追氏は、フリーのディレクター、プロデューサーとなる。地球環境問題やUFO問題を中心に、テレビ、ビデオ、ラジオの番組制作、出演と活躍してきた。さらに著述、講演、取材などで世界中を飛び回っている。

 では矢追氏がなぜ「11PM」でUFOの番組を作ろうと考えたのか、それをまず聞いてみた。

「それは視聴者に、空を見てほしいなあ、そう思ったからでしたね」(矢追さん)

 番組が作られたのは1973年(昭和48年)。ちょうど高度経済成長が終わり、その後の安定成長期に移行する頃だった。

「経済が急成長してからというもの、みんな精神的な余裕を失ってしまって、その頃、せかせかと、だれもが街を歩いていたんです。とにかく前だけを見てひたすら急いでいた。用があろうがなかろうが、せかされるように、追い立てられるようにして歩いていた。その異様な光景に、これってゾンビじゃないの? と思いました。まあ、現在はもっとすごいかもしれませんが。このままだと、近い将来、必ず日本は行き詰ってしまうだろうと思いました。そうならないためにも、もっと余裕を取り戻して、まわりに目をやり、時々立ち止まって空を眺めるゆとりをもってほしいと考えたんです」

 しかし、単に空を見せるだけでは、番組として成り立たない。どうしたらいいか考えた矢追さんは、思わぬところでヒントを手にした。それは、書店で手にした本だった。

「空飛ぶ円盤の本でした。読んでみると、円盤に乗って宇宙人が地球に来ているらしい、と書いてある。『これは面白い。UFOの番組を作ろう』とその場で決めました。そして、宇宙人が乗ったUFOが来ているかもしれないから、みんなで空を探してみましょう、という感じの番組が完成しました」

  矢追 純一さん

■予測はストレスの元。
 「僕は、とっくに捨てました」


 矢追さんが作ったUFO番組は高い視聴率を記録。すぐさま第2弾が制作されることに決まった。

「僕は自分から売り込んでいくことが苦手でね。『これをやりたい』『これができます』と、あまり言わないんですよ。その後も、プロデューサーが『矢追、またやれよ』と声をかけてくれたから、番組を作ってきました。誰も何も言わなかったら、何もしないタイプですね」

 とはいえ番組を制作するうちに、矢追さんの所にさまざまなUFOの情報が集まるようになった。中には、地球に宇宙人が来ていると考えざるを得ない情報もあったという。

「でも、世の中、いろいろなことが起こるじゃないですか。UFOがいても当たり前、いなくても当たり前。どっちだっていいんですよ。そんなことはね。
『もしも宇宙人が攻めてきたらどうしようか?』などと心配していても、しょうがないでしょう。万が一攻めてきたら、そのときに考えればいいんですよ 」

 いくら将来のことを考え、予測をしても無意味ではないか。それが矢追さんの考え方だ。

「たとえば、気象庁は世界最高クラスのコンピュータにありとあらゆるデータを入れて、天気予報を出しているそうです。それでも当たらないことが多いでしょう。僕らが生きている世界は、一瞬一瞬変化している。だから予測が当たらないんです。 僕だって、ほんとうに当たるものなら、予測をしますよ。でも、これまでの人生で当たった試しがないからね(笑)。僕は、とっくに捨てました 」

 矢追さんは「予測がストレスの原因になっていると思う」とも話してくれた。一生懸命考え、未来を予測してみても、そのこと自体が不安の種になることがある。また、せっかくの予測も外れることが多いため、そのことがイライラの元になるからだ。

「とっくに予測はやめた」と語る矢追さん。では、どんな生き方をしているのだろう?

「ありのままに生きていけばいいんだって、ある時気づいたんです。だって生きてるって、それだけで驚異的なことじゃないですか。地球に住む全員が、すごい奇跡的なことを毎日してるんですよ。奇跡的なことに、予測は通用しないでしょう」

 でも悲しいかな、みんなお金や地位やモノに心を奪われてしまって、自分がいまこの瞬間を生きてるってことを忘れていると、矢追さんは語る。

「UFOという超常的な存在を知ってもらって、それが視聴者に生きるわくわく感を与えてくれれば嬉しいと思います。もちろんそれはエンターテイメントに過ぎません。しかしそれを通して、本質的なメッセージはきっと伝わっていると思います」

 矢追さんの話には、UFOの存在を伝えるだけでなく、UFOを通して伝えたい深い思想があった。そしてそれを理解したいなら、まずはもっと空を見上げよう、そういう気持ちが湧いてくるなかでこのインタビューを終えたのだった。